2026 Release Wave 1で仕入請求書の照合に関する便利な機能が追加されましたので、今回はPreview版で機能を調査した結果を紹介します。
新機能のソースはこちら:Match purchase invoices to multiple order and receipt lines
従来からある機能は、”既に転記済の仕入入荷伝票明細を新規の仕入れ請求伝票に取り込む機能”でした。今回の新機能は発注伝票の未入荷明細も取り込むことができる機能です。
Cronusのデータを使って実際に見てみましょう。
Purchase Invoice(仕入請求)の一覧画面を開きます。

Cronusには未転記の仕入請求伝票が3件あります。このうち、2つ目の伝票を使って挙動を確認します。仕入先が”First Up Consultants”の伝票です。

伝票を開いて明細行部分でLine -> Functions のメニューを見ると”Get Order Lines…”というメニューが見つかります。

V27と比較してみましょう。”Get Receipt Lines…”は存在しますが、その下に”Get Order Lines…”は存在しません。つまりV28の”Get Order Lines…”は今回追加された新機能です。

V28に戻ります。”Get Order Lines…”の前に”Get Receipt Lines…”の機能をおさらいします。

”Get Receipt Lins”という画面が表示されます。ここには入荷転記済の発注明細が一覧表示されています。ここで明細を選択してOKボタンを押すと、請求書のラインに読み込まれるという機能です。が、、ここでは何もせずにキャンセルして戻ります。

参考までに、転記済の仕入請求伝票(Posted Purchase Receipts)を見てみましょう。仕入先で”First Up Consultants”で絞ると、先ほど”Get Receipt Lines”の一覧画面に表示されていた伝票が表示されていることがわかります。

試しに伝票番号”107001”を開いてみると、以下のように3明細が入荷転記済であることが見て取れます。
ここまでは”Get Receipt Lines…”機能の復習です。この明細が新機能”Get Order Lines…”の機能でどう処理されるか、も一つのポイントです。

いよいよ本題の”Get Order Lines”機能を使ってみましょう。仕入先”First Up Consultants”の未転記仕入請求伝票に戻り、”Get Order Lines…”を実行します。

すると以下のように”Purchase Lines”という画面が表示されます。一番右端の”Outstanding Quantity”に注目すると、値が正の数の行とゼロの行が存在しています。値が正の数の行のうちサンプルとして文書番号が106007のものに着目します。

別画面で発注伝票番号”106007”を開いてみます。発注数量が100で入荷済数量、請求済数量に値がセットされていないことがわかります。発注した後に入荷も請求も行われていない(=全数量が発注残)という事になります。こうした発注伝票の明細を仕入請求の伝票から見ることができるのが今回の新機能の一つのポイントです。

さて、”Get Order Lines…”で表示された画面には”Outstanding Quantity”が0の明細もありました。これらの明細は何でしょう? ”Outstanding”は一般的には”卓越した(=とても優秀)”という意味ですが、ERP用語では”未処理の”というような意味になります。発注伝票において未処理=入荷していない、という意味です。したがって、Outstanding Quantityが0ということは少なくとも”入荷済”という事を意味しそうです。

実際に伝票を一つ見てみましょう。上記の一覧に登場する文書番号”106024”の発注伝票を別画面で見てみると、品目や発注数量、入荷済数量が一致することがわかります。入荷済かつ請求は未処理、という状態だと分かります。

さて、仕入請求伝票の”Get Order Lines…”で表示された画面に戻りましょう。手元には仕入先からの請求書があり、赤枠で囲った2つの明細分が請求書に記載されている、という想定のシナリオです。下の明細は入荷転記済なのでこのまま仕入請求に取り込んで良いですが、上段の明細は取り込んでよいのでしょうか?
ここは業務側の判断になります。未入荷にも関わらず仕入先が請求してきたのであれば請求書の修正を依頼すべきです。一方で、自社側で入荷転記が漏れていた、あるいはこの発注明細については個別に入荷処理せずに請求ベースで入荷転記してよいことになっている、というケースもあります。後者の場合はこの発注明細も取り込んだうえで請求転記するのが正しい処理になります。今回は後者のケースとして処理を進めます。

このように2つの明細が仕入請求に取り込まれました。(上の2明細はCronusのプリセットデータなので気にしないでください。)3行目の明細が未入荷、4行目の明細が入荷済の明細です。

このまま転記してみたいところですが、先に転記プレビューしてみましょう。

なんとエラーになりました。。3行目の明細には請求に対応する入荷明細が存在しない、というエラーです。いや、今回の新機能は未入荷でも請求転記できるちおう機能じゃないのか?!とツッコミたくなるところですが、、

正しい処理としては選択肢が2つあり、ひとつ目は素直に発注伝票を開いて入荷転記することです。が、、これでは面白くないので、もう一つの方法をとります。

発注伝票のInvoice Detailsタブに”Receipt on Invoice”というトグルがあります。これが請求転記時に自動的に入荷転記する新機能です。今回はこちらを使ってみましょう。

”Receipt on Invoice”をOnにし、明細行の入荷数量と入荷済数量はブランクのままにしておきます。(念のため画面を照会モードに切り替えて、明示的にほぞんするのが良いです。)この伝票では転記しないことがポイントです。

仕入請求伝票に戻り、改めて転記プレビューします。

今度はエラーが発生しませんでした。在庫の受払を記録するItem Ledger Entryができていることがわかります。

Item Ledger Entriesには入荷が記録されることがわかります。(Previewなのであくまで予定ですが。)

転記プレビューでエラーが出ないことを確認できたので、実際に転記します。

転記完了後に発注伝票を見に行くと”Quntity Received”に数量が入っていることがわかります。この挙動が”Receipt on Invoice”の機能です

ちなみに別の発注伝票”106008”だと”Receipt on Invoice”がOnにできません。これは、Warehouse機能を使ってるからです。倉庫管理使っているのに請求書受領を以て入荷済とみなして入荷転記するのは筋が通らないので、このエラーは妥当ですね。ほかにも前払請求のケースでもエラーになることがMicrosoft Learnに記載してありました。

もう一つ余談ですが、”Get Purchase Lines…”で表示される画面のページ番号を調べると518となっており、結構昔から存在する画面であることがわかります。(何故分かるのか?といわれると困るんですが、昔からNAV/BCやってると分かるんです。)

このページはURLでページを直指定して開くことができるのですが、結構便利です。特に、数年前に追加されたAnalysis Modeに切り替えると、、

こんな感じで簡易的なPivotを作ることができ、仕入先別品目別発注残が確認できたりします。V27でも使えるのでよかったらどうぞ。

ということで、今回は仕入請求書転記時に発注伝票明細と転記済の入荷伝票明細を一画面で確認しつつ請求書照合できる機能を紹介しました。
仕入先からの請求書照合の実務をやったことがある人はわかると思いますが、照合は結構めんどくさいんですよね。発注伝票の入荷済数量と請求書の請求数量が一致していればサクサクと照合・転記が進むのですが、一致しない場合は(1)入荷転記漏れ、(2)未入荷なのに仕入先が請求してきた、(3)発注していないのに仕入先が請求してきた、の3パターンのどれかを調べて判定する必要があります。また、仕入先の請求明細が間違っていない場合でも、1請求書の各明細が複数の発注に跨っているケースも普通にあり、発注伝票を1件ずつ開いて確認していくのはなかなか大変です。今回の機能追加により、購買部門は購入元の現場部門に(1)、(2)、(3)のどれですか?と聞く際に、今回の追加された”Get Order Lines…”の一覧画面を見せればよいので、結構便利になると思います。(ちょっと頭が働く人は最後に紹介したPage518を使ってv27以前でも効率的に業務を回していたのかもしれませんが。)
あと、何気にこの機能を使うと全数入荷請求転記しても発注伝票が消えないんですよね。これまでも発注伝票から請求転記せずに、入荷転記したうえで仕入請求画面から”Get Receipt Lines”機能を使って請求転記すれば発注伝票が消えないようにできる、という小技が知られていましたが、入荷転記を実施する必要があるので使い勝手が今一つでした。(ERP導入ビジネスをやっていると、発注は協力会社の方への発注が多く、月末に納品&請求を一気にやってしまうことが多かったりします。)今回の新機能で入荷転記を請求転記と同時にできるようになったので、仕入の請求は必ず”Get Order Lines…”から実行することにすれば発注伝票が消えてしまう問題がなくなるのではないか?と思います。
ということで、今回紹介した機能は結構使える機能だと思います。皆さんもぜひ試してみてください。