Dynamics 365 Business Central の v17CU03が先日リリースされたのですが、各種元帳明細テーブルにショートカット分析項目が追加されるという変更が入っていましたので紹介します。
前提
調査したバージョンはV17.3です。Microsoft標準サンプルDBのCronusを使うとセットアップの手間が省けます。
会計元帳明細の項目確認
G/L Register(archive)機能を呼び出します。任意の明細を選択して、ProcessタブからGeneral Ledgerを選択。
すると会計元帳明細が表示されます。Cronusでは”Department”という項目があり、これはGlobal分析項目1です。列名称にマウスオーバーすると説明で確認できます。
同様に”Customergroup”という項目がGlobal分析項目2になっています。ここまでは従来のバージョンと同じです。
ここで、Ctrl+Alt+F1を押してみましょう。この画面のページ番号、テーブル番号、項目名が表示されます。虫眼鏡アイコンで”Dimension”とキーワード検索すると”Shortcut-Dimension3”~ ”Shortcut-Dimension8” という項目が存在することがわかります。
画面のdesign機能を使って項目を追加表示することが出来ます。
Shortcut分析項目の設定
項目は追加したものの、既存のデータにはショートカット分析項目がセットされていないため、元帳明細のShortcut分析項目に値が入っていることが確認できません。確認するために分析項目を追加します。
まずはDimension画面でCustomergroupとDepartment以外の分析項目を追加します。例えば”Area”と”Business”を追加してみます。
追加したショートカット分析項目のうち”Area”に分析項目の値の選択肢を追加します。例えば”Euro”, ”North America”, ”Japan”を追加します。
追加した分析項目をショートカット分析項目として定義します。General Ledger SetupのDimensionのセクションでShortcut Dimension 3に”Area”, Shortcut-Dimension 4に”Business”を追加します。設定はこれで完了です。
データの作成と確認
実際にデータを作って転記してみます。なんでも良いので受注伝票を開き、ヘッダーのOrderタブからDimensions選択。
分析項目AreaにJapanを追加します。
そして転記。
G/L Entries から最新の明細を選択して会計元帳明細を確認します。すると、ショートカット分析項目3にJapanがセットされていることが確認できました。
Shortcut分析項目が追加された対象テーブル
会計元帳明細に追加されたことを確認しましたが、ほかのテーブルはどうでしょうか?
実は他にも追加されているテーブルがあります。例えばVendor Ledger Entries。仕入先への債務を管理する補助元帳ですね。先ほどと同様にCtrl+Alt+F1を利用して、 ”Shortcut-Dimension3” ~ ”Shortcut-Dimension8” が追加されていることを確認できます。
一つ一つ検討をつけて確認するのは辛いので、テーブル項目一覧から ”Shortcut-Dimension” を項目名に含むものを抽出してみます。Page番号9806を使うと全テーブルの全項目の一覧を表示できます。
項目名=”*Dimension*” でフィルタをかけます。そしてPageタブからExcelにダウンロードします。
ExcelをPivot集計し、項目名 ”Shortcut-Dimension1”~ ”Shortcut-Dimension8” でフィルタすると以下のようになります。全部で19の元帳明細に追加されたことがわかります。
”Global Dimension1” と”Global Dimension2” も含めてみます。すると、マスターテーブルには含まれず、元帳明細のテーブル(Ledger Entries)には追加されていることがわかります。赤字の部分、例えばBank AccountはShortcut分析項目を持ちませんが、Bank Ledger EntriesはShortcut分析項目を持ちます。
ただし注意が必要で、マスターテーブル(ex.Bank Account)のデータにShortcut分析項目を持てないという事ではありません。マスターの登録画面を見れば分かりますが、Shortcut分析項目を設定することは可能です。あくまで、テーブルに項目を持つかどうか、がポイントです。
元帳のテーブルにShortcut分析項目を持つようになったことで画面上で分析項目を容易に確認できるようになったので、非常に大きな改善だと思います。
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