Dynamics365 Finance and Ooperation, Business edition は基本的にDynamics NAV2017で使用できる機能の一部を縮小したものだと理解していたのですが、NAV2017に存在しない機能が存在していました。
Employee Ledgerという機能です。日本語訳すると「従業員元帳」です。Ledgerのデータ構造を見る限り、従業員立替金の管理をするための機能と思われます。(出張経費とかを一時的に従業員が立替ておいて、後で従業員の口座に振り込むアレです。)
NAV2017に存在せず、D365に存在する、、、ということはNAV2018への機能追加が大いに期待できますね。
早速機能を見ていきます。
まずはメニュー検索で「Employee」と入力すると以下の機能メニューがリストされます。
NAV2017までは「Employee」は存在していましたが、「Employee Ledger」は存在していませんでした。また「Employee Posting Group」も追加されていることからPost(会計転記)できる機能と推測できます。(Employee Journalがないよ、、というのは一旦置いといて。)
まずはEmployee Posting Groupの画面から。Cronusには一つも存在しないので、新規登録します。
とりあえず適当に「Standard」というコードを追加し、勘定科目を割当てます。(それっぽい債務科目を選択)
Employee Posting Groupを設定した後は一旦戻り、「Employee(従業員)」の一覧画面を表示させます。JRさんのエントリを選択して「Edit」ボタンを押します。
John Robertsさんの従業員カード設定画面です。リボンに「Ledger Entries」ボタンがあるので押してみます。
Employee Ledger Entries(従業員元帳明細)画面が表示されました。まだ何もレコードはありません。項目とリボンを見る限り、Vendor Ledger Entries (仕入先元帳明細)画面に似ています。見出し行を右クリックすると、、
一覧の項目を見ることができます。やはり、Vendor Ledger Entriesっぽい残高明細な雰囲気の項目群です。
JRさんの従業員カード画面に戻り、下の方に行くと「Payment」タブがあります。NAV2017にはない項目です。Employee Posting Groupがここにあります。
先ほど登録したEmployee Posting Groupを割当てます。
これで設定は完了です。次にデータを作成してみましょう。Journal(仕訳帳)をメニュー検索すると、、
従業員元帳専用のJournalは見当たりません。。(その内できると期待!)
一般仕訳帳で代用します。Account Typeで「Employee」が選択肢に存在します!
Account No.に従業員コードを入れて、、(1行目の相手勘定(費用科目)も忘れずに)
金額を指定。
転記します。
転記されました!
JRさんの従業員カードからEmployee Ledgerを確認。
見事、登録されました。
勢いに乗って、立替精算の支払をします。支払仕訳帳から転記。
転記成功!
なお、支払仕訳帳画面で明細消込が出来ません。。Account TypeがVendorだと「Apply Entries」ボタンがアクティブですが、、
Account Typeが「Employee」だとActiveではありません。(見づらいですが、ボタンは非活性で押せません。)
Journalに消込機能がないですが、Ledgerの一覧画面から消込が可能です。Employee Ledgerの一覧画面で消し込みたい明細を選択して「Apply Entries」ボタンを押すと、、
消込対象のEmployee Ledgerを選択する画面が開きます。消込相手の明細を選択して「Set Applies-to ID」ボタンを押すと、、
明細にApplies to IDがセットされます。「Post Application」を押すと、、
転記日とDocument Noを聞かれるので指定してOKボタンを押します。
見事、消込できました。
専用の仕訳帳が無かったり、仕訳帳で消込できないなどの点は今後の改善に期待するとして、従業員立替金を管理できるようになったのは大きな変更点だと思います。Employee Ledgerが無い状態でも従業員を仕入先として登録すれば同様の事は可能でしたが、仕入先を照会できる人が従業員の個人情報にアクセスできるのはどうか?という話になり、ややこしい権限制御の仕組みを作る必要がありました。Employee Ledgerとしてテーブルそのものが分かれたことで簡単に制御できるようになりました。
また、NAVよりも先行してD365に公開される機能もあるということが分かったのも大きいです。他にも先行して公開される機能があるかもしれませんので楽しみが増えました。
そしてNAV2018リリースまであと5週間。待ち遠しいですね。
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